2022年経済5団体新年祝賀会(2022.1.5)

 1月5日(水)、徳島グランヴィリオホテルにおいて徳島県内経済5団体新年祝賀会(主催:徳島県経営者協会・徳島県商工会議所連合会・徳島県中小企業団体中央会・徳島県商工会連合会・(一社)徳島経済同友会)が開催された。本会からは三好・坂田両代表幹事をはじめ120名が参加した。

 昨年度に続き、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、毎年恒例の鏡開きやビュッフェスタイルでの懇談は中止し、セミナー形式での開催となった。

 主催者を代表して、徳島県商工会議所連合会の寺内会頭が挨拶した。冒頭、今回のコロナ禍がもたらした様々な影響や最近の原材料価格の高騰について触れ、景気の先行きが不透明であることに言及された。そして、メジャーリーグでMVPに選ばれ二刀流として大活躍した大谷翔平選手について、常識を覆し、新しい可能性を示したとし、「我々経営者も自身の行動を見つめ直し人としての魅力を磨きつつ、柔軟、大胆な発想のもと、新たな取組みにチャレンジする姿勢が必要である」と話された。

 来賓の飯泉嘉門徳島県知事は、「新型コロナウイルス感染症」「人口減少」「災害列島」の3つの国難について言及し、「世界中でしのぎを削るDX、GXへの取組みによりこれらの国難の解決を図っていく必要がある」と述べられた。

 内藤佐和子徳島市長は、デジタル化、ダイバーシティ、SDGs等への取組みを推進していくとし、「時代の変化を捉えた取組みを加速させ、市民のみなさまが将来の希望を持てる社会を実現できるよう全力で取組んでいく」とし施策推進への協力を求めた。

 最後の手締めでは、野地澄晴徳島大学長とともに、本会の坂田代表幹事が「徳島締め」を披露し、閉会となった。

 

代表幹事コメント「2022年 年頭所感」

2022年 年頭所感

 

一般社団法人 徳島経済同友会

代表幹事 三 好 敏 之

 

 明けましておめでとうございます。

 2022年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。また、会員の皆さまにおかれましては、徳島経済同友会の諸活動に対し、日頃から一方ならぬご支援・ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

 

 さて、2021年は、まさにウィズコロナを体現した1年でありました。コロナ禍の下、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、日本選手団は史上最多のメダルを獲得するという活躍を見せ、日本国民に勇気と感動を与えてくれました。また、ワクチン接種が進むにつれ、感染者数は減少し、感染対策を講じながら社会・経済活動も本格化してまいりました。リモートが普及し、Webによる会議や商談、テレワークが拡がり、働き方も大きく変わりました。そうした状況の中で、欧米では景気回復が顕著となり、日本でも数多くの上場企業が過去最高益を更新するなど持ち直しの動きが続いています。一方で、世界的な需要の回復により原材料や物流など様々なコストが上昇しており、企業収益への影響、物価上昇に伴う消費の減退が懸念されています。加えて、新たな変異株オミクロンが世界各国に広がり深刻化しており、感染状況から目を離せない状況が続いています。政府には、景気が腰折れすることのないよう、水際対策の徹底、3回目のワクチン接種、治療薬の普及など適切かつ迅速な対応を期待しています。政治においては、昨年10月に菅首相に代わり、岸田首相が就任されました。規制緩和・構造改革で生じた格差を是正し、成長と分配の好循環による新たな日本型資本主義の構築を提唱され、同月末実施された衆議院選挙では与党が絶対安定多数を確保いたしました。新首相には前述のコロナ対策に加えて、金融緩和がもたらしたマネーがコロナ後の新しい付加価値やマーケットを創造するための投資に向かうよう、その前提となるデジタル化の推進も含めて、これらを強力に後押しする施策を期待しています。また、財政再建、人口減少・少子高齢化、社会保障等の重要な課題についても国民負担増に目をそらすことなく、しっかりと説明したうえで将来ビジョンを示していただきたいと思います。

 徳島県内に目を向けますと、県内最大のイベントである徳島市の阿波踊りは、ニューノーマルモデルとしての開催となり、コロナ前の賑わいを取り戻すことはできませんでした。一方で、そごう徳島店閉店後の後継テナントとして「三越徳島」が10月に開店しました。今春にはグランドオープンを予定しており、他のテナント誘致の加速化にも期待したいと思います。

 次に、本会の活動については、コロナによる制約がある中、調査研究活動を継続し、3つの提言書を策定し自治体等に提言を行いました。現在、徳島県の人口は72万人を割り込み、2040年には57万人まで減少すると推計されています。人口の減少は地方共通の課題ですが、経済活動やその規模の縮小を招き、ひいては地域社会全体の活力が損なわれます。「産・官・学」連携のもと、様々な分野において徳島の魅力度を向上させる取組みが求められています。本会は、2022年1月8日に創立70周年を迎えます。持続的に成長し、また特色ある徳島経済を創造するため、委員会による調査研究活動を更に進め、経済同友会の本分であります政策提言につなげ、徳島が抱える様々な課題の解決に寄与していきたいと考えます。

 

 本年は「寅」年です。寅年は、よく新しい芽が「成長する」とか、これから成長する物事が「始まる」年といわれています。現在のコロナ禍に置き換えてみますと、この2年間でビジネスや働き方、生活様式等のいろいろな分野で変化が起こり、新しい様式が生まれました。今年は、それらが新しい日常として定着し、更なる進化を見せ始めるのかもしれません。こうした変化に順応し、そしてコロナを克服し、新たな成長を成し遂げられる年にしたいと切に願っております。

 会員の皆さま方の益々のご繁栄をお祈り申し上げますとともに、本会に対し引き続きのご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。   

 

 

熊本「HiGO ROCKa Summit」(2021.11.3)

 2021年11月3日、熊本市の県民交流館パレアにおいて、地域の再生につながる女性活躍の課題や今後の展望などについて考えるフォーラム「HiGO ROCKa Summit」が開催され、約150名が参加した。女性管理職比率全国2位の熊本県から同1位の徳島県の経済団体の女性トップに対し登壇の要請があったもので、本会の坂田代表幹事、寺内会頭(徳島商工会議所)、林会長(徳島県経営者協会)の3名が登壇された。

 開会にあたり、蒲島熊本県知事の挨拶(くまもんと一緒に)があり、「女性への敬意と尊重が根底として重要」だと述べられた。フォーラムの冒頭では飯泉徳島県知事からのビデオレターが放映され、その後意見交換が行われた。

 坂田代表幹事は、「阿波男は寛容だ。私を抜擢したのも阿波男。男性の価値観の変革が必要で、女性の社会進出には、身近で活躍するリーダーやロールモデルの存在が重要だ」と話された。女性活躍、女性の社会進出の課題や今後の展望について、熊本県側、徳島県側、双方、活発な討論が展開され、盛況にてフォーラムを終えた。

 

 

 

第18回旧遍路道体験ウォーク(2021.11.13)

 11月13日(土)、第18回目を数える「旧遍路道体験ウォーク」を実施した。今回は、初めて県外での実施となり、高松市の第84番札所屋島寺から第85番札所八栗寺までの約8kmの道程を歩いた。

 先達の佐野氏先導のもと、自然豊かな遍路道を総勢20名が参加してウォーキングを満喫した。

 阿波踊り会館前にて大型バスに乗り込み出発。屋島山頂に到着し、第84番札所屋島寺を参拝。先達の指導の下、本堂および大師堂にて灯明、線香をあげ、皆で読経した。晴天にも恵まれ、山頂からの瀬戸内海の眺望は素晴らしかった。名物の「かわら投げ」にも挑戦、屋島を満喫した。

 屋島寺参拝を終えて、いよいよウォーキング開始。急な下り坂が続き、慎重に足を運んで、昼食をいただく「うどん本陣 山田屋」をめざし歩いた。予定通りに山田屋さんに到着。本場の讃岐うどんに舌鼓を打った。   

 昼食休憩後、いよいよ八栗寺を目指して出発。ここからは、登りが続き、八栗寺に近づくにつれ急な登り坂となり、息を切らしながら懸命に歩を進めていった。無事、八栗寺に到着。本堂、そして後方に聳え立つ五剣山が目の前に広がった。屋島寺同様、灯明、線香をあげ、読経した。

 参拝後、今度は急な下り坂となったが、全員無事に山を下り、バスにて帰路に着いた。本年も、参加者のご協力のおかげで大変有意義な体験ウォークとなった。

 

 

第118回西日本経済同友会会員合同懇談会(2021.10.15)

 10月15日(金)13時30分から、京都市の国立京都国際会館において、第118回西日本経済同友会会員懇談会が、オンライン配信併用のハイブリッド形式にて開催された。中部から九州までの18の経済同友会からリアルで約450名、オンラインで約270名が参加した。本会からは三好、坂田両代表幹事をはじめ計14名が参加した。

 合同懇談会に先立ち、西日本経済同友会代表幹事会が開催され、次回(山口市)の概要や各地のトピックの説明があった。

 懇談会は、京都経済同友会の村田代表幹事の開会挨拶で始まり、「文化と創業のまち京都で、いま教育を考える」をテーマに基調講演やパネルディスカッションなどが開催された。

 最初に、永守重信氏(日本電産㈱代表取締役会長)より「大学改革で目指す人材育成」と題して基調講演が行われた。

休憩をはさみ、パネルディスカッションに移り、山極壽一氏(総合地球環境学研究所所長/京都大学 前総長)、赤松玉女氏(京都市立芸術大学 学長)、堀場厚氏(㈱堀場製作所代表取締役会長)の3名がパネリストとして登壇し、最近の学生の意識から日本の教育システムまで幅広く議論が展開された。

 パネルディスカッション終了後、神田代表幹事(山口経済同友会)から次回開催地としての挨拶があり、古市代表幹事(関西経済同友会)の閉会挨拶を以って懇談会が終了した。

その後、同会館のイベントホールにて懇親パーティーが開催され、ウエルカムアトラクションでは、上七軒の舞が披露された。コロナ禍での開催のため、移動には制限があったが、可能な範囲で交流を図った。

四国活性化に向けた意見交換会(2021.9.3)

 2021年9月3日(金)13時30分から、WEBにて四国経済連合会主催による「四国活性化に向けた意見交換会」が開催された。本会は三好代表幹事、坂田代表幹事が参加、徳島県商工会議所連合会からは寺内会長、小笠専務理事が、日本青年会議所徳島ブロック協議会からは廣浦会長がそれぞれ参加した。

 最初に、四国経済連合会の佐伯会長より主旨説明があり、「各組織体の連携・協力体制が十分ではなく、四経連がその橋渡しができないかと考えている。現状打開の糸口を見出し、四国で共有できる活動指針を作りたい」と挨拶された。

 その後、意見交換会に移り、四国経済連合会から、「四国の目指すべき将来像(仮称)」を検討するにあたり、下記4点について説明があった。

1.今回の検討に至った背景とねらい

2.検討にあたっての基本的視点

3.検討の進め方・スケジュール

4.検討の成果物とその活用施策

 20年程度先の「四国の将来像(ありたい姿)」を提示し、その将来像実現に向けての具体的なアクションテーマを抽出、実施主体を明確化する。「人口減少社会」に適合する現実的な施策、そして四県や各地域の特質を活かしつつ相互にメリットを共有できる施策(例えば観光分野など)を展開。今回の検討結果のレポートは、今後の継続的な取組みの起点となる「初版手引書」として整理し、来年3月を目途に公表したいとされた。また先月8月に行った若手実業家等との意見交換会の内容についても報告があった。

 続いて今回参加の経済団体から、それぞれの活動内容や最近の取組み状況について報告された。当会からは、委員会活動や最近の提言について説明し、三好代表幹事は、「ベクトルを合わせて連携・協力していくことはいいことだ。特に観光などの分野は連携できるのではないか。インバウンド対応としては、海外のエージェントに四国全体を一体としてPRする必要がある」と意見を述べた。坂田代表幹事からは「10年後、20年後の徳島の強みを盛り込んだイラストマップを作ってはどうか」との提案がなされた。

 寺内会長は、交通インフラ整備(四国新幹線の早期実現等)の必要性、廣浦会長は、防災事業への取組み等について言及された。

 これらの意見を受けて、佐伯会長は、「観光分野は四国ツーリズム創造機構と連携し具体的に着手している。DX推進における人材不足などの隘路についても連携課題になる。また防災面では行政のバックアップが課題となっており連携できる」と応じられた。そして、「具体的に何をするのか、ということに力点を置き、連携できることがあるのなら、ぜひ一緒にやっていきたい」と述べられ、意見交換会を終えた。          

第29回四国地区経済同友会交流懇談会(2021.8.6)

 8月6日(金)13時30分から、徳島市のJRホテルクレメント徳島において、第29回四国地区経済同友会交流懇談会が本会の主催により開催された。コロナ禍のもと、リアル参加は徳島の会員限定とし、香川、愛媛、土佐の各同友会の会員の皆様にはオンライン参加としライブ配信を行った。リアルでは66名が参加し、オンラインでは徳島を含め4県の同友会から130名が参加した。

 交流懇談会に先立ち、四国地区経済同友会代表幹事会がオンラインで開催された。当会の三好代表幹事から、本日の交流懇談会の内容について説明があり、続いて香川経済同友会の間島代表幹事から第30回四国地区経済同友会交流懇談会の日程や概要について報告された。

 オープニングでは、徳島県を紹介する動画「とくしまの観光と文化」(㈱えんがわ制作)をご覧いただき、交流懇談会が始まった。冒頭、本会の三好代表幹事より開会の挨拶があり、今回の開催に至った経緯や想いについて話された。またオンラインで参加の各地同友会の会員の皆様に対しては、歓迎と御礼の意を重ねて伝えられた。その後、「DXを活用した地方創生~コロナ後の社会を見据えて~」をメインテーマに基調講演およびパネルディスカッションが開催された。

 

 <基調講演>

 藤田恭嗣氏(株式会社メディアドゥ代表取締役社長CEO)が「起業による地方創生と上場」と題して講演された。藤田氏は20才で事業を始め、40才で上場。春夏秋冬で人生を考えると今は秋、恩返しする時期であるとし、地方創生に貢献することに注力されている。昨年には、TIB(一般社団法人徳島イノベーションベース)を設立し起業家の創出に取組んでいる。TIBは起業家支援事業に特徴があり、毎月の月例会、ラーニング、フォーラムについて説明があった。特に、フォーラムは仕事・家族・個人について毎月8人が4時間、徹底的に討論する仕組み。そしてTIBの分母にEO(Entrepreneurs’ Organisation)を据えることにより、起業家の経験値を聞き、それを活かすことで成功確率を上げ、失敗確率を下げることができる。この徳島発祥のTIBは現在21の道府県に拡がりを見せている。EOについても説明があり、世界では約14,500名、日本国内では約700名が加入しており、その内70名が上場経営者。これは極めて高い水準であり、このような組織はなかなか見当たらず、上場に近い存在と言える。上場している先輩から気軽に様々な経験を聞けるため、成功確率が上がる。地方がなかなか上場できないのは情報が無いからであり、それをカバーする仕組みが必要であった。EOの加入条件は売上1億円以上の起業家とされており、藤田氏はEO会員としてEO Tokyoの第24期会長も務められた。そして、地方創生の本質は、「地方に生まれ育った人たちが、自分たちが成長して、自分たちの手で生きている空間や場所を自分たちの力でどうするのか考え、行動することにある」と話された。また、2015年の国連のSDGs採択により、社会課題への貢献が求められ、株主中心からすべてのステークホルダーを意識した経営が現在は求められている。コーポレートガバナンス・コードでは83項目を上場企業は開示する必要があり、ESGにおいても地方創生は重要である。その意味でも地方はチャンスであり、アンテナを張って、帆を広げ、風を受け止めることが大切である。

 続いて、メディアドゥの事業内容や設立から上場に至る経緯については、設立から上場まで18年かかり、事業を4回ピボットし、5回目の挑戦で2013年に上場。上場後の2017年には当時業界№2であったメディアドゥが№1を買収し、売上は155億円から372億円と飛躍的に増加した。今年度の売上は1,000億円(昨年度実績835億円)を見込んでいる。同社が取組むDX(デジタルトランスフォーメーション)については、「ブロックチェーンのテクノロジーを使って、デジタルコンテンツにアセットの概念を創ること」と話された。

 続いて、上場については、「上場は知名度の向上や人材確保が容易に、など様々なメリットがあるが、やはり資金調達がいちばんのメリット。デメリットは無い。上場の目的は、これらのメリットを武器にゲームチェンジすることにある。そして、上場とは「会社を通して社会に何を実現したいのか」ということであり、それを成すためのひとつの手段である」と話された。

 次に、藤田氏が上場後に取組む地方創生事業については、人口1,000人の限界集落、徳島県旧木頭村での挑戦が紹介された。柚子関連商品販売(黄金の村)、キャンプ場(CAMP PARK KITO)、未来コンビニ、徳島駅構内のYUZU CAFÉ Kitchenなど。「未来コンビニ」は、世界一美しいコンビニをコンセプトに昨年4月にオープン。世界三大デザイン賞の一つであるドイツのデザインアワードにおいて、2021年のリテールデザイン部門で最優秀賞を受賞。「訪れるべき場所」として、木頭の未来を紡ぐ。

 藤田氏は、「木頭での取組みが全国の地方にとって、ひとつのモデルとなり、地方創生に寄与することを期待している」と話された。   

 KITO GROUPでは、現在70名の雇用を生み出している。一方、徳島市内では、メディアドゥテック徳島を設立し、100名の雇用を創出。マンガやアニメは日本の強みであり、徳島で「マンガ」の作画やカラー化事業を行うべく準備している。

 起業家の社会貢献のひとつとして、「起業家が起業家を生み育てる」ため、前出のTIBについて言及。失敗確率を減らし、10年で100人の起業家の創出を目標に掲げている。「起業は怖くない、まずこういう仕組みがあることを知ってもらうことが必要」と話された。また、10月にTIBと四究会のコラボイベント「地方経済未来会議 LEC」が開催され、上場起業家12名が徳島に集結することも紹介された。

 最後に、徳島がモデルとなり、「地方から上場を」「起業家が地方に勇気を」とのメッセージを送られ、講演を終えられた。

 講演後の質疑応答では、上場の時期やデメリットについて質問があった。これに対し、「問題は起こるかもしれないが、できるタイミングがあるのなら上場した方がいい」「試練や困難はあるが、上場することでしか見えない世界がある」「上場により保有株数が減っても経営ができ、経営権に固執するのではなく、経営に固執すること」など質問に答えられた。

 

<パネルディスカッション>

 基調講演をしていただいた藤田恭嗣氏に加え、大田佳宏氏(Arithmer株式会社代表取締役社長兼CEO)をパネリストに迎えパネルディスカッションを行った。進行役のコーディネーターは野地澄晴氏(国立大学法人徳島大学長)が務められた。最初に、大田氏からアリスマーの事業内容について説明があり、金融保険、メーカー、医薬・食品から宇宙・量子コンピューターに至るまで事業分野は多岐に渡る。東大ベンチャーは400あるが、数学では唯一。AIやIT技術を通して数学を社会に還元するとしている。来年には上場予定であり、「上場に向け防災、創薬、マッチングなどに事業分野を絞り、その後は海外展開し事業を拡大したい」と話された。

 事業を始めた動機については、藤田氏からは「アメリカへの2年間の渡航資金800万円を貯めるためだった。大学卒業時には4,000万円貯まったが、アメリカへ行くという選択はせず、国内にとどまり、メディアドゥを設立した」ことが明かされた。大田氏は「算数・数学が好きで数学の先生になりたいと思っていた。東大大学院~IBM~日立製作所を経て東大の数学の教授となった。その間、30年間に渡りAIやビッグデータの研究をしてきたが、人のDNAが解析され医療が数学的な対象となったことがターニングポイントだった。数学を使って癌を治せる薬を創りたいと研究を進め、東大の教授となり、その後に起業しアリスマーを設立した」と話された。

 続いて、地方創生のための仲間づくりやTIBがあっという間に全国各地に拡がった方法については、藤田氏は、「xIBは自治体、メディア、銀行、大学の協力は必須であり、組織の作り方をマニュアル化しツールを作っている。木頭での地方創生の取組みは、他のサンプルとなって勇気やヒントを与えられればとの想いから、リスクを取って実証実験を行っている。ビジョンや戦略は自身が決定するが、マネジメントは任せている。また、責任は持つが、いっさい報酬は取らないと決めている。これらの活動に取組めるのは、社長室チーム(17名)があって自分の考えを理解してくれており、自身の負荷は軽くなっているため」と話された。

 次に、今後、AIを使った世界はどう変わるのか、という問いについては、大田氏は「GAFAについては、BtoCであり広く浅く使えるAIだ。これに対し当社は、toCではなく、toBのAIモデルに特化した。toCのAIは比較的容易だが、toBはチューニング、高度な作り込みが必要であるため、当社のAI技術が多くの企業に使われている。コロナで非接触が常態化する中で、グローバル企業のtoBのインフラはAI化されていく」と答えられた。

 最後に、野地学長から将来の夢や決意について訊ねられると、藤田氏は、「夢はメディアドゥにある。世の中のアセットの概念を変えることだ。リアルのものにしかないアセットをデジタルにも創る。デジタルの中でちゃんとお金が稼げる、つまりデジタルのコンテンツの運用でコンテンツベーシックインカムのように毎月お金が得られる。そうなると、単にアウトプットし続けるのではなく、捻出した時間でインプットを増やすことができ、それにより結果として以前より多くのお金を生み出すこともできる。また、リアルのアセットは時間がかかるが、デジタルのアセットは時間がかからず、移転コストも低い。デジタルのアセットは、社会への大いなる貢献につながる」と話された。

 大田氏は、「数学を社会に役立てたいとの思いで、薬の設計から始め、今いちばん有名なのは浸水予測。災害による保険金の支払いに数か月かかっていたが、当社のAIで数日に短縮できた。そして今は予測することで人の命を救うことに拡がっている。また、糖尿病は去年、FDAで米国の会社に最終認証が下り、これから米国では糖尿病の治療・手術がどんどん行われていく。糖尿病は治る病気になる。世界は一気に変わると思う。そこのロボットとAIをアリスマーのものを使いたいとオファーがきている。透析は減り、社会保障の根本的な見直しにもつながる。人の命を救う、社会課題の解決に全力集中していく。そして、数学でいろんなことができる、人を救える、薬を創れる、といったことを若い人、子どもたちに見せながら、次の50年、100年先の日本をより良い社会にしてくれる人を育てていきたい」と話された。

 その後質疑応答に入り、「AIの持つ危険性」や「世界中のニーズがネットでつながる、未来のビジネスのスタイル」、また「地方を担う若い人や子どもたちに対する教育の在り方」などについて質問があった。大田氏は、「AIは生命体としての人間とは違い、有機物に過ぎず、自己増殖はできない。プラス面もマイナス面もありリスクもあるが、プラスの面も多く、ブレーキをかけながら有効的に利用していくことだ」と答えられた。また、ビジネスの効率化については、「M&Aや企業買収など新しい組み合わせは、人の直感だけでは計算しきれないのでIT化する。また、会社と会社、さらには優秀な人材を上手くロードとしてグラフデータベース化することで精度が上がり、ビジネスの効率化は必ず進んでいく。日本は、道徳やプライバシーといった美学を残しながらも、この分野で負けてはいけない」と答えられた。教育については、大田氏は「若い優秀な人材には魅力ある職、仕事づくりが必要。ダイバーシティを受け入れながら、戻って来られる場を作る、そういう環境づくり、そういう教育をしていきたい」と答えられた。藤田氏は、「子どもたちをもっと自由にするという発想が必要。今の子どもたちは情報を収集し比較することができる。今やおとなの成功方程式は通用せず、おとなの不勉強ゆえにミスマッチな環境を作っていることが問題。人生=情報×経験でしかなく、おとなが教えられること(経験、哲学、家族とは、人とは、国とは…つまり歴史)は限られる。子どもたちをどんどん自由にさせ、可能性・自律性を信用し信頼する、そういう社会のモードチェンジが必要だ」と答えられた。

 最後に、コーディネーターを務められた野地学長が、「若い人に、幼い頃からもっと起業のことをきっちり教えることが重要ですね」とまとめられ、パネルディスカッションを終えた。

 パネルディスカッション終了後、次年度開催地の香川経済同友会の間島代表幹事からオンラインにて挨拶があり、「四国のサバイバルについて、をテーマに四国が地域間競争の中でどのように生き残っていくのか議論したい。観光面では、四国ブランドを構築し誘客して各地を回遊する仕組みづくりについても議論したい。また、懇親会では瀬戸内海を臨みフェリーでの開催を企画している。来年は瀬戸内国際芸術祭もあり、ぜひ香川にお越しください」と話された。

 最後に、当会の坂田代表幹事より閉会の挨拶があり、3名のご登壇者、そしてご参加の皆様に感謝申し上げるとともに、「来年はコロナが収束し、香川でみなさまと元気にお会いできますように」と締めくくった。

四国遍路世界遺産登録推進協議会総会(2021.7.26)

 7月26日(月)13時30分から、JRホテルクレメント徳島において、四国遍路世界遺産登録推進協議会令和3年度総会が開催され、本会からは島事務局長が参加した。

 開会にあたり、佐伯勇人協議会会長(四国経済連合会会長)と、副会長代表として徳島県の飯泉嘉門知事から挨拶があった。

 その後、4つの部会からそれぞれ活動状況について報告があった。普及啓発部会では、ポスターやパンフレットの増刷の他、各県の経済同友会と四経連がfacebookを管理し、推進協議会をPRすることとなった。また、2019年度に制作したPR動画を使用したWEBプロモーションは、新型コロナウイルスの影響でインバウンドが回復しないため、実施を見送った。来年度は、ロゴマークデザインを公募し、変更する予定である。デザインの公募を通じて、四国遍路世界遺産登録の活動をPRしていく。

 受入態勢の整備部会では、遍路道とトイレ位置案内図に今年度、香川県域と高知県域のWi-Fiスポットの位置情報を掲載したが、来年度は徳島県域と愛媛県域についても追加する予定である。また、講演会や勉強会も積極的に実施する計画を立てている。

 議事の後、文化審議会世界文化遺産部会の答申について報告がされた。2020年に、文部科学大臣から文化審議会に諮問がなされ、それを受けて文化審議会世界遺産部会における5回の会議で諮問事項が議論され、出された第一次答申となる。さらに今年度の議論を経て、最終的な答申が出される見込みである。

 本会も引き続き、四国遍路の世界遺産登録に向けて、機運を盛り上げていきたい。

東日本大震災10周年追悼シンポジウム(2021.7.4)

 7月4日(日)13時から、全国経済同友会東日本大震災10周年追悼シンポジウムが仙台市にて開催された。リアルとオンラインの併用で約220名が参加し、本会からは島事務局長がオンラインで参加した。

 櫻田謙悟氏((公社)経済同友会代表幹事)の挨拶で開会し、追悼式典が行われ、犠牲になられた方々を追悼した。その後、基調講演ならびに3つのセッションが実施され、被災地の現状や今後の課題、具体的な政策など幅広く議論が展開された。最後に、古市健氏(関西経済同友会代表幹事)が総括され、閉会の運びとなった。

 

◇プログラム

<追悼式典>

 東日本大震災の発生から今日までの10年間を振り返り、犠牲になられた方々を追悼するとともに、被災地の復興とIPPO IPPO NIPPON プロジェクトが応援した若者たちの”今”を共有する。

 

<基調講演>

 震災発生直後から復旧期、さらに現在までの10年間の政府・自治体・企業の取り組みを総括して、これからの災害対応のあり方と官民の役割を考える。

演 題: 「東日本大震災からの10年間を振り返って」

来 賓: 岡本 全勝 氏(元内閣官房参与/元復興庁事務次官)

 

<第1セッション>

「これからの東北・被災地の活力創出」

 自己革新による活力創出を東北・被災地の企業経営・経済活動に組み込んでいくための方策を検討し、人口減や過疎化に苦慮する各地に道筋を示す。

モデレータ: 木村惠司 氏(経済同友会防災・震災復興委員会 前委員長/三菱地所 特別顧問)

パネリスト: 大山健太郎 氏(仙台経済同友会 終身幹事/アイリスオーヤマ取締役会長)甘竹秀企 氏(アマタケ取締役社長)植田拓郎 氏(東北大学理事(産学連携担当)・産学連携機構長)

 

<第2セッション>

「福島再生への展望」

 福島第一原子力発電所の廃炉作業の進捗を確認するとともに、福島再生の鍵を担う産業集積と人材育成の取り組み・好循環の創出に向けた課題を議論する。

モデレータ: 末宗徹郎 氏(福島復興再生総局 事務局長)

パネリスト: 髙原一嘉 氏(東京電力ホールディングス 福島復興本社代表)阿部隆彦 氏(福島経済同友会代表幹事/福島商事取締役会長)伊藤泰夫 氏(福島イノベーション・コースト構想推進機構専務理事)

 

<第3セッション>

 「3.11の教訓と災害対応の課題」

 東日本大震災を振り返って災害対応の課題と緊急支援の限界を整理したうえで、企業は災害にいかに備え、社会・経済活動の継続にいかに貢献するべきかを考える。

モデレータ: 徳植桂治 氏(経済同友会 防災・震災復興委員会前委員長/太平洋セメント 特別顧問)

パネリスト: 永松伸吾 氏(関西大学 社会安全学部教授)山内雅喜 氏(ヤマトホールディングス 取締役会長)

高橋真裕 氏(岩手経済同友会 代表幹事/岩手銀行取締役会長)