事業方針

2023年度事業計画

「未来を創る、挑戦する徳島経済」

 

基本方針

 

 3年間にわたり猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、本年5月に感染症法上の分類を2類から5類へ変更することを政府が決定するなど、収束の兆しを見せ始めている。こうしたことを背景にこれまで大きな制約を受けてきた社会経済活動は本格的に回復しつつあり、今後は「ウィズコロナ」「アフターコロナ」を見据えた取り組みを一層加速させていく必要がある。

 ロシアによるウクライナ侵攻は、深刻な国際社会の分断をもたらすとともに、エネルギーや食糧・資源価格の高騰を招き、世界的な需要の回復も相まって急激なインフレを引き起こしている。こうした中、金融政策は転換点を迎え、世界各国では利上げが進む一方、緩和を継続する日本においては内外金利差の拡大から円安が進行し、輸入コストは増大、企業物価は大きく上昇するなど企業経営に影を落としている。結果として、政府の掲げる目標とは違ったかたちの物価上昇が家計にも及び、消費動向も含め景気の先行きが懸念されている。

 しかしながら、こうした状況下にあっても、経済安全保障、エネルギー問題、気候変動対策への取り組みなど、環境・社会課題の解決に向けた動きは止めてはならず、未来に向け世界は大きく変わろうとしている。この潮流をしっかりと捉えて、新たなイノベーション、付加価値を創造することが重要であり、それが企業の繁栄、日本経済の未来につながるものと考える。

 徳島県では、中心市街地の空洞化、若者の県外流出による人口減少や少子高齢化の進展など、従前からの構造的な課題は解決していない。人口減少は地域の消費、ひいては経済の縮小を意味するため、抜本的な少子化対策とともに、これをカバーするためにも観光誘客、交流人口等の増加、イノベーションによる新事業の創出など将来を見据えた取り組みが急務となっている。

 一方、SDGs先進県を志向する徳島は、燃料電池バスの運行やサテライトオフィスの集積、上勝町のごみゼロへの取り組みなど先進的なモデルとして全国から注目されている事例も多い。本年には、再生可能エネルギー事業の拡充も見込まれ、教育や新事業創出といった分野では、起業家の育成に主眼を置いた「神山まるごと高専」が開校する。また、スポーツの分野では、徳島県初のプロバスケットボールチーム「徳島ガンバロウズ」が本格稼働するなど、これらの新たな動きが徳島を活性化し、地方創生の一翼を担うことが期待されている。

 本年11月には、本会を幹事として「第120回西日本経済同友会会員合同懇談会」の開催を予定している。また、2025年には「大阪・関西万博」、2027年には「ワールドマスターズゲームズ」という一大イベントがあり、徳島の認知度を高める絶好の機会が控えている。これまで以上に関西経済同友会ならびに四国地区経済同友会と連携し、一致協力した取り組みが望まれる。

 本年のスローガンを引き続き「未来を創る、挑戦する徳島経済」とし、大都市圏とは異なる特色ある徳島経済の創造に努めていきたい。徳島経済同友会では調査研究活動を通じて、課題解決に向けた政策提言を積極的に行っていく。加えて、四国四県をはじめ全国各地の経済同友会との連携を強化し、民間と行政、現役世代と若者等異なった主体を紡ぐ結び目となり、魅力ある持続可能な地域社会、活力ある徳島経済の創造に向け挑戦していく方針である。

事業目標

  1. 地域社会の重要課題について考える
  2. 調査・研究活動(委員会活動)を通して政策提言を実施する
  3. 全国各地の同友会や諸団体、自治体、大学との交流・連携を深める
  4. 会員の拡充をはかり、会員相互の啓発向上と親睦に努める