環境政策にかかる全国行脚意見交換会(2022.2.6)

2022年2月6日(日)14時から、環境省主催による徳島県との意見交換会がオンラインにて開催された。本会からは三好代表幹事が出席した。出席者は以下のとおり。

 

<徳島県>

飯泉 嘉門  徳島県知事

花本 靖   上勝町長

近森 憲助  Local SDGs四国共同代表

寺内 カツコ 徳島商工会議所会頭

豊岡 和美  (一社)徳島地域エネルギー

       事務局長

板東 豊彦  ㈱徳島大正銀行代表取締役頭取

三好 敏之  徳島経済同友会代表幹事

<環境省>

穂坂 泰   環境大臣政務官

松澤 裕   水・大気環境局長

上田 健二  中国四国地方環境事務所長

 

 冒頭、穂坂政務官が挨拶され、「2050年カーボンニュートラルを宣言し、地球温暖化は待ったなしの状況だ。地域の取組みから脱炭素を進めていく必要があり、先行する地域を作り、その取組みを全国に広げていきたい。地域の課題やニーズにしっかりと耳を傾け環境政策に反映させたい」と述べられた。

 意見交換会では、徳島県から出席の7名が、自らの脱炭素への取組み状況や今後の方針について説明し、また国への要望等について意見を述べた。本会の三好代表幹事は委員会活動に触れ、「次年度には新たに、産業振興・グリーン産業研究委員会を創設する予定であり、企業が脱炭素にどのように関わり成果を上げていくのか、研究していく」と述べた。またロードマップについては、「具体的な削減目標を数字で示し、その目標に対しそれぞれの活動事業がどれだけの効果があるのか示す必要がある。脱炭素の目標達成が身近なものに感じられるように、一つの行動、あるいは設備投資がどの程度のインパクトをもたらすのか、それらの見える化が必要だ」とした。脱炭素関連の設備投資については、「設備投資を先送りすることのないよう、投資減税等を整備し、企業が積極的に取組むことのできる環境づくりをお願いしたい」と述べた。

 意見交換後、WEB上での記念写真を撮影し、閉会した。

金融経済懇談会(2021.12.8)

 2021年12月8日(水)10時30分から、日本銀行高松支店主催による「金融経済懇談会」が開催された。日本銀行からは、雨宮正佳副総裁、高田英樹高松支店長、福西康浩徳島事務所長が出席、徳島県からは、飯泉嘉門徳島県知事をはじめ経済団体の各代表者計9名が出席した。本会からは三好代表幹事が出席した。

 最初に、雨宮副総裁による講演があった。徳島県内のサテライトオフィス誘致やLED関連企業集積、女性活躍が進んでいる点などに触れ、「徳島県経済が、今後も時代を先取りした取組みを推進し、益々発展していくことを願っている」などと話された。

 その後、意見交換会が非公開にて行われた。三好代表幹事の発言要旨は以下のとおり。

 

 徳島県経済の現状評価は、生産・雇用・個人消費については、一部に持ち直しの動きが見られるが、新型コロナウイルスの影響は大きく、依然として厳しい状況である。特に個人消費の今後については、コロナの動向(第6波、3回目ワクチン接種など)次第である。また企業業績については、資源価格の高騰、物流コストの上昇など、収益への影響が懸念される。県内企業については、徳島県は製造業に強みがあり、産業構造上でもウエイトは高い。ニッチな分野で生産活動に従事する企業も多く、コロナ禍でも好調な業績を上げている企業も少なくない。土木・建設業については、今年度も底堅く推移する見通しであり、今後は大阪万博関連の間接的な特需効果が期待される。

 徳島経済同友会は、地域経済の発展を大きな目標の一つとして活動し、そのために必要な政策提言を活動の柱としている。6つの委員会が調査研究活動を行っており、コロナ禍の中でも、今年は3つの提言書を策定し、自治体等に提言を行った。現在も各種アンケート調査を実施するなど、精力的に調査研究活動を進めており、新たな提言に繋げるべく準備をしている。特に、「DXの推進」や「防災・BCP」は、製造業の割合が高く、また自然災害(風水害・南海トラフ地震等)が想定される徳島にとっては、非常に重要な課題であり、要望事項を精査し、できるだけ早い時期に提言につなげたいと考えている。

 政策要望等については、コロナによって日本だけでなく世界中が資金の過剰供給で金融経済は実体経済とかけ離れて膨れ上がった。本来、金融緩和がもたらしたマネーは、コロナ後の新しい付加価値やマーケットを創造するための投資に向かうべきであり、その前提としてのデジタル化の推進も含めて、これらを強力に後押しする施策をお願いする。

 懇談後の記者会見で、雨宮副総裁は今後の経済の先行きについて言及するとともに、徳島県については、水素で走る燃料電池バスの運行や空港内の水素ステーションなどを取り挙げ、「こうした取組みを更に横展開し、全国的にもより発信力を高めていくことが大事であり、これらの取組みが大きな成果につながることを期待している」と話された。

 

2021年度年末会員懇談会(2021.12.6)

 12月6日(月)午後6時からJRホテルクレメント徳島において、恒例の年末会員懇談会が開催された。

 はじめに、三好代表幹事が会員の方々に日頃のご支援とご協力に対するお礼を述べるとともに、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、例年より時間を短縮し、プログラムの内容も昨年同様変更して開催することにしたと挨拶した。

 続いて、坂田代表幹事の乾杯の挨拶で開宴した。

 昨年同様、指定席とし、会員の皆様には席の移動を自粛していただき、座席間をアクリル板で仕切るなどの新型コロナウイルス感染拡大防止の対策を講じての懇談会となった。毎年好評をいただいていたチャリティーオークションは、今年も中止となった。開宴後まもなく、鴨島鳳翔太鼓のみなさんの和太鼓演奏が行われた。会場には迫力ある和太鼓の調べが鳴り響き、美味しい食事を楽しみながら、演奏に聴き入った。

 その後、会員の方々からご提供いただいた豪華な景品の福引抽選が行われ、28名の方が見事当選された。

 最後は田中理事が、来年こそは、コロナを克服し、経済が力強く回復に向かうことを祈念したいと中締めし、髙畑理事の音頭による「徳島締め」にてお開きとなった。

 会員の皆様にご協力いただいた募金は、NPO法人新町川を守る会、NPO法人徳島共生塾一歩会、および徳島新聞社会文化事業団への寄付金に充てられた。徳島新聞社会文化事業団へは、12月23日(木)に三好代表幹事が持参し、事業団の米田豊彦代表理事に手渡した。

 来年の年末会員懇談会は、新型コロナウイルスが終息し、従来のような懇談会が開催できることを期待したい。

2022年経済5団体新年祝賀会(2022.1.5)

 1月5日(水)、徳島グランヴィリオホテルにおいて徳島県内経済5団体新年祝賀会(主催:徳島県経営者協会・徳島県商工会議所連合会・徳島県中小企業団体中央会・徳島県商工会連合会・(一社)徳島経済同友会)が開催された。本会からは三好・坂田両代表幹事をはじめ120名が参加した。

 昨年度に続き、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、毎年恒例の鏡開きやビュッフェスタイルでの懇談は中止し、セミナー形式での開催となった。

 主催者を代表して、徳島県商工会議所連合会の寺内会頭が挨拶した。冒頭、今回のコロナ禍がもたらした様々な影響や最近の原材料価格の高騰について触れ、景気の先行きが不透明であることに言及された。そして、メジャーリーグでMVPに選ばれ二刀流として大活躍した大谷翔平選手について、常識を覆し、新しい可能性を示したとし、「我々経営者も自身の行動を見つめ直し人としての魅力を磨きつつ、柔軟、大胆な発想のもと、新たな取組みにチャレンジする姿勢が必要である」と話された。

 来賓の飯泉嘉門徳島県知事は、「新型コロナウイルス感染症」「人口減少」「災害列島」の3つの国難について言及し、「世界中でしのぎを削るDX、GXへの取組みによりこれらの国難の解決を図っていく必要がある」と述べられた。

 内藤佐和子徳島市長は、デジタル化、ダイバーシティ、SDGs等への取組みを推進していくとし、「時代の変化を捉えた取組みを加速させ、市民のみなさまが将来の希望を持てる社会を実現できるよう全力で取組んでいく」とし施策推進への協力を求めた。

 最後の手締めでは、野地澄晴徳島大学長とともに、本会の坂田代表幹事が「徳島締め」を披露し、閉会となった。

 

熊本「HiGO ROCKa Summit」(2021.11.3)

 2021年11月3日、熊本市の県民交流館パレアにおいて、地域の再生につながる女性活躍の課題や今後の展望などについて考えるフォーラム「HiGO ROCKa Summit」が開催され、約150名が参加した。女性管理職比率全国2位の熊本県から同1位の徳島県の経済団体の女性トップに対し登壇の要請があったもので、本会の坂田代表幹事、寺内会頭(徳島商工会議所)、林会長(徳島県経営者協会)の3名が登壇された。

 開会にあたり、蒲島熊本県知事の挨拶(くまもんと一緒に)があり、「女性への敬意と尊重が根底として重要」だと述べられた。フォーラムの冒頭では飯泉徳島県知事からのビデオレターが放映され、その後意見交換が行われた。

 坂田代表幹事は、「阿波男は寛容だ。私を抜擢したのも阿波男。男性の価値観の変革が必要で、女性の社会進出には、身近で活躍するリーダーやロールモデルの存在が重要だ」と話された。女性活躍、女性の社会進出の課題や今後の展望について、熊本県側、徳島県側、双方、活発な討論が展開され、盛況にてフォーラムを終えた。

 

 

 

第18回旧遍路道体験ウォーク(2021.11.13)

 11月13日(土)、第18回目を数える「旧遍路道体験ウォーク」を実施した。今回は、初めて県外での実施となり、高松市の第84番札所屋島寺から第85番札所八栗寺までの約8kmの道程を歩いた。

 先達の佐野氏先導のもと、自然豊かな遍路道を総勢20名が参加してウォーキングを満喫した。

 阿波踊り会館前にて大型バスに乗り込み出発。屋島山頂に到着し、第84番札所屋島寺を参拝。先達の指導の下、本堂および大師堂にて灯明、線香をあげ、皆で読経した。晴天にも恵まれ、山頂からの瀬戸内海の眺望は素晴らしかった。名物の「かわら投げ」にも挑戦、屋島を満喫した。

 屋島寺参拝を終えて、いよいよウォーキング開始。急な下り坂が続き、慎重に足を運んで、昼食をいただく「うどん本陣 山田屋」をめざし歩いた。予定通りに山田屋さんに到着。本場の讃岐うどんに舌鼓を打った。   

 昼食休憩後、いよいよ八栗寺を目指して出発。ここからは、登りが続き、八栗寺に近づくにつれ急な登り坂となり、息を切らしながら懸命に歩を進めていった。無事、八栗寺に到着。本堂、そして後方に聳え立つ五剣山が目の前に広がった。屋島寺同様、灯明、線香をあげ、読経した。

 参拝後、今度は急な下り坂となったが、全員無事に山を下り、バスにて帰路に着いた。本年も、参加者のご協力のおかげで大変有意義な体験ウォークとなった。

 

 

第118回西日本経済同友会会員合同懇談会(2021.10.15)

 10月15日(金)13時30分から、京都市の国立京都国際会館において、第118回西日本経済同友会会員懇談会が、オンライン配信併用のハイブリッド形式にて開催された。中部から九州までの18の経済同友会からリアルで約450名、オンラインで約270名が参加した。本会からは三好、坂田両代表幹事をはじめ計14名が参加した。

 合同懇談会に先立ち、西日本経済同友会代表幹事会が開催され、次回(山口市)の概要や各地のトピックの説明があった。

 懇談会は、京都経済同友会の村田代表幹事の開会挨拶で始まり、「文化と創業のまち京都で、いま教育を考える」をテーマに基調講演やパネルディスカッションなどが開催された。

 最初に、永守重信氏(日本電産㈱代表取締役会長)より「大学改革で目指す人材育成」と題して基調講演が行われた。

休憩をはさみ、パネルディスカッションに移り、山極壽一氏(総合地球環境学研究所所長/京都大学 前総長)、赤松玉女氏(京都市立芸術大学 学長)、堀場厚氏(㈱堀場製作所代表取締役会長)の3名がパネリストとして登壇し、最近の学生の意識から日本の教育システムまで幅広く議論が展開された。

 パネルディスカッション終了後、神田代表幹事(山口経済同友会)から次回開催地としての挨拶があり、古市代表幹事(関西経済同友会)の閉会挨拶を以って懇談会が終了した。

その後、同会館のイベントホールにて懇親パーティーが開催され、ウエルカムアトラクションでは、上七軒の舞が披露された。コロナ禍での開催のため、移動には制限があったが、可能な範囲で交流を図った。

四国活性化に向けた意見交換会(2021.9.3)

 2021年9月3日(金)13時30分から、WEBにて四国経済連合会主催による「四国活性化に向けた意見交換会」が開催された。本会は三好代表幹事、坂田代表幹事が参加、徳島県商工会議所連合会からは寺内会長、小笠専務理事が、日本青年会議所徳島ブロック協議会からは廣浦会長がそれぞれ参加した。

 最初に、四国経済連合会の佐伯会長より主旨説明があり、「各組織体の連携・協力体制が十分ではなく、四経連がその橋渡しができないかと考えている。現状打開の糸口を見出し、四国で共有できる活動指針を作りたい」と挨拶された。

 その後、意見交換会に移り、四国経済連合会から、「四国の目指すべき将来像(仮称)」を検討するにあたり、下記4点について説明があった。

1.今回の検討に至った背景とねらい

2.検討にあたっての基本的視点

3.検討の進め方・スケジュール

4.検討の成果物とその活用施策

 20年程度先の「四国の将来像(ありたい姿)」を提示し、その将来像実現に向けての具体的なアクションテーマを抽出、実施主体を明確化する。「人口減少社会」に適合する現実的な施策、そして四県や各地域の特質を活かしつつ相互にメリットを共有できる施策(例えば観光分野など)を展開。今回の検討結果のレポートは、今後の継続的な取組みの起点となる「初版手引書」として整理し、来年3月を目途に公表したいとされた。また先月8月に行った若手実業家等との意見交換会の内容についても報告があった。

 続いて今回参加の経済団体から、それぞれの活動内容や最近の取組み状況について報告された。当会からは、委員会活動や最近の提言について説明し、三好代表幹事は、「ベクトルを合わせて連携・協力していくことはいいことだ。特に観光などの分野は連携できるのではないか。インバウンド対応としては、海外のエージェントに四国全体を一体としてPRする必要がある」と意見を述べた。坂田代表幹事からは「10年後、20年後の徳島の強みを盛り込んだイラストマップを作ってはどうか」との提案がなされた。

 寺内会長は、交通インフラ整備(四国新幹線の早期実現等)の必要性、廣浦会長は、防災事業への取組み等について言及された。

 これらの意見を受けて、佐伯会長は、「観光分野は四国ツーリズム創造機構と連携し具体的に着手している。DX推進における人材不足などの隘路についても連携課題になる。また防災面では行政のバックアップが課題となっており連携できる」と応じられた。そして、「具体的に何をするのか、ということに力点を置き、連携できることがあるのなら、ぜひ一緒にやっていきたい」と述べられ、意見交換会を終えた。          

第29回四国地区経済同友会交流懇談会(2021.8.6)

 8月6日(金)13時30分から、徳島市のJRホテルクレメント徳島において、第29回四国地区経済同友会交流懇談会が本会の主催により開催された。コロナ禍のもと、リアル参加は徳島の会員限定とし、香川、愛媛、土佐の各同友会の会員の皆様にはオンライン参加としライブ配信を行った。リアルでは66名が参加し、オンラインでは徳島を含め4県の同友会から130名が参加した。

 交流懇談会に先立ち、四国地区経済同友会代表幹事会がオンラインで開催された。当会の三好代表幹事から、本日の交流懇談会の内容について説明があり、続いて香川経済同友会の間島代表幹事から第30回四国地区経済同友会交流懇談会の日程や概要について報告された。

 オープニングでは、徳島県を紹介する動画「とくしまの観光と文化」(㈱えんがわ制作)をご覧いただき、交流懇談会が始まった。冒頭、本会の三好代表幹事より開会の挨拶があり、今回の開催に至った経緯や想いについて話された。またオンラインで参加の各地同友会の会員の皆様に対しては、歓迎と御礼の意を重ねて伝えられた。その後、「DXを活用した地方創生~コロナ後の社会を見据えて~」をメインテーマに基調講演およびパネルディスカッションが開催された。

 

 <基調講演>

 藤田恭嗣氏(株式会社メディアドゥ代表取締役社長CEO)が「起業による地方創生と上場」と題して講演された。藤田氏は20才で事業を始め、40才で上場。春夏秋冬で人生を考えると今は秋、恩返しする時期であるとし、地方創生に貢献することに注力されている。昨年には、TIB(一般社団法人徳島イノベーションベース)を設立し起業家の創出に取組んでいる。TIBは起業家支援事業に特徴があり、毎月の月例会、ラーニング、フォーラムについて説明があった。特に、フォーラムは仕事・家族・個人について毎月8人が4時間、徹底的に討論する仕組み。そしてTIBの分母にEO(Entrepreneurs’ Organisation)を据えることにより、起業家の経験値を聞き、それを活かすことで成功確率を上げ、失敗確率を下げることができる。この徳島発祥のTIBは現在21の道府県に拡がりを見せている。EOについても説明があり、世界では約14,500名、日本国内では約700名が加入しており、その内70名が上場経営者。これは極めて高い水準であり、このような組織はなかなか見当たらず、上場に近い存在と言える。上場している先輩から気軽に様々な経験を聞けるため、成功確率が上がる。地方がなかなか上場できないのは情報が無いからであり、それをカバーする仕組みが必要であった。EOの加入条件は売上1億円以上の起業家とされており、藤田氏はEO会員としてEO Tokyoの第24期会長も務められた。そして、地方創生の本質は、「地方に生まれ育った人たちが、自分たちが成長して、自分たちの手で生きている空間や場所を自分たちの力でどうするのか考え、行動することにある」と話された。また、2015年の国連のSDGs採択により、社会課題への貢献が求められ、株主中心からすべてのステークホルダーを意識した経営が現在は求められている。コーポレートガバナンス・コードでは83項目を上場企業は開示する必要があり、ESGにおいても地方創生は重要である。その意味でも地方はチャンスであり、アンテナを張って、帆を広げ、風を受け止めることが大切である。

 続いて、メディアドゥの事業内容や設立から上場に至る経緯については、設立から上場まで18年かかり、事業を4回ピボットし、5回目の挑戦で2013年に上場。上場後の2017年には当時業界№2であったメディアドゥが№1を買収し、売上は155億円から372億円と飛躍的に増加した。今年度の売上は1,000億円(昨年度実績835億円)を見込んでいる。同社が取組むDX(デジタルトランスフォーメーション)については、「ブロックチェーンのテクノロジーを使って、デジタルコンテンツにアセットの概念を創ること」と話された。

 続いて、上場については、「上場は知名度の向上や人材確保が容易に、など様々なメリットがあるが、やはり資金調達がいちばんのメリット。デメリットは無い。上場の目的は、これらのメリットを武器にゲームチェンジすることにある。そして、上場とは「会社を通して社会に何を実現したいのか」ということであり、それを成すためのひとつの手段である」と話された。

 次に、藤田氏が上場後に取組む地方創生事業については、人口1,000人の限界集落、徳島県旧木頭村での挑戦が紹介された。柚子関連商品販売(黄金の村)、キャンプ場(CAMP PARK KITO)、未来コンビニ、徳島駅構内のYUZU CAFÉ Kitchenなど。「未来コンビニ」は、世界一美しいコンビニをコンセプトに昨年4月にオープン。世界三大デザイン賞の一つであるドイツのデザインアワードにおいて、2021年のリテールデザイン部門で最優秀賞を受賞。「訪れるべき場所」として、木頭の未来を紡ぐ。

 藤田氏は、「木頭での取組みが全国の地方にとって、ひとつのモデルとなり、地方創生に寄与することを期待している」と話された。   

 KITO GROUPでは、現在70名の雇用を生み出している。一方、徳島市内では、メディアドゥテック徳島を設立し、100名の雇用を創出。マンガやアニメは日本の強みであり、徳島で「マンガ」の作画やカラー化事業を行うべく準備している。

 起業家の社会貢献のひとつとして、「起業家が起業家を生み育てる」ため、前出のTIBについて言及。失敗確率を減らし、10年で100人の起業家の創出を目標に掲げている。「起業は怖くない、まずこういう仕組みがあることを知ってもらうことが必要」と話された。また、10月にTIBと四究会のコラボイベント「地方経済未来会議 LEC」が開催され、上場起業家12名が徳島に集結することも紹介された。

 最後に、徳島がモデルとなり、「地方から上場を」「起業家が地方に勇気を」とのメッセージを送られ、講演を終えられた。

 講演後の質疑応答では、上場の時期やデメリットについて質問があった。これに対し、「問題は起こるかもしれないが、できるタイミングがあるのなら上場した方がいい」「試練や困難はあるが、上場することでしか見えない世界がある」「上場により保有株数が減っても経営ができ、経営権に固執するのではなく、経営に固執すること」など質問に答えられた。

 

<パネルディスカッション>

 基調講演をしていただいた藤田恭嗣氏に加え、大田佳宏氏(Arithmer株式会社代表取締役社長兼CEO)をパネリストに迎えパネルディスカッションを行った。進行役のコーディネーターは野地澄晴氏(国立大学法人徳島大学長)が務められた。最初に、大田氏からアリスマーの事業内容について説明があり、金融保険、メーカー、医薬・食品から宇宙・量子コンピューターに至るまで事業分野は多岐に渡る。東大ベンチャーは400あるが、数学では唯一。AIやIT技術を通して数学を社会に還元するとしている。来年には上場予定であり、「上場に向け防災、創薬、マッチングなどに事業分野を絞り、その後は海外展開し事業を拡大したい」と話された。

 事業を始めた動機については、藤田氏からは「アメリカへの2年間の渡航資金800万円を貯めるためだった。大学卒業時には4,000万円貯まったが、アメリカへ行くという選択はせず、国内にとどまり、メディアドゥを設立した」ことが明かされた。大田氏は「算数・数学が好きで数学の先生になりたいと思っていた。東大大学院~IBM~日立製作所を経て東大の数学の教授となった。その間、30年間に渡りAIやビッグデータの研究をしてきたが、人のDNAが解析され医療が数学的な対象となったことがターニングポイントだった。数学を使って癌を治せる薬を創りたいと研究を進め、東大の教授となり、その後に起業しアリスマーを設立した」と話された。

 続いて、地方創生のための仲間づくりやTIBがあっという間に全国各地に拡がった方法については、藤田氏は、「xIBは自治体、メディア、銀行、大学の協力は必須であり、組織の作り方をマニュアル化しツールを作っている。木頭での地方創生の取組みは、他のサンプルとなって勇気やヒントを与えられればとの想いから、リスクを取って実証実験を行っている。ビジョンや戦略は自身が決定するが、マネジメントは任せている。また、責任は持つが、いっさい報酬は取らないと決めている。これらの活動に取組めるのは、社長室チーム(17名)があって自分の考えを理解してくれており、自身の負荷は軽くなっているため」と話された。

 次に、今後、AIを使った世界はどう変わるのか、という問いについては、大田氏は「GAFAについては、BtoCであり広く浅く使えるAIだ。これに対し当社は、toCではなく、toBのAIモデルに特化した。toCのAIは比較的容易だが、toBはチューニング、高度な作り込みが必要であるため、当社のAI技術が多くの企業に使われている。コロナで非接触が常態化する中で、グローバル企業のtoBのインフラはAI化されていく」と答えられた。

 最後に、野地学長から将来の夢や決意について訊ねられると、藤田氏は、「夢はメディアドゥにある。世の中のアセットの概念を変えることだ。リアルのものにしかないアセットをデジタルにも創る。デジタルの中でちゃんとお金が稼げる、つまりデジタルのコンテンツの運用でコンテンツベーシックインカムのように毎月お金が得られる。そうなると、単にアウトプットし続けるのではなく、捻出した時間でインプットを増やすことができ、それにより結果として以前より多くのお金を生み出すこともできる。また、リアルのアセットは時間がかかるが、デジタルのアセットは時間がかからず、移転コストも低い。デジタルのアセットは、社会への大いなる貢献につながる」と話された。

 大田氏は、「数学を社会に役立てたいとの思いで、薬の設計から始め、今いちばん有名なのは浸水予測。災害による保険金の支払いに数か月かかっていたが、当社のAIで数日に短縮できた。そして今は予測することで人の命を救うことに拡がっている。また、糖尿病は去年、FDAで米国の会社に最終認証が下り、これから米国では糖尿病の治療・手術がどんどん行われていく。糖尿病は治る病気になる。世界は一気に変わると思う。そこのロボットとAIをアリスマーのものを使いたいとオファーがきている。透析は減り、社会保障の根本的な見直しにもつながる。人の命を救う、社会課題の解決に全力集中していく。そして、数学でいろんなことができる、人を救える、薬を創れる、といったことを若い人、子どもたちに見せながら、次の50年、100年先の日本をより良い社会にしてくれる人を育てていきたい」と話された。

 その後質疑応答に入り、「AIの持つ危険性」や「世界中のニーズがネットでつながる、未来のビジネスのスタイル」、また「地方を担う若い人や子どもたちに対する教育の在り方」などについて質問があった。大田氏は、「AIは生命体としての人間とは違い、有機物に過ぎず、自己増殖はできない。プラス面もマイナス面もありリスクもあるが、プラスの面も多く、ブレーキをかけながら有効的に利用していくことだ」と答えられた。また、ビジネスの効率化については、「M&Aや企業買収など新しい組み合わせは、人の直感だけでは計算しきれないのでIT化する。また、会社と会社、さらには優秀な人材を上手くロードとしてグラフデータベース化することで精度が上がり、ビジネスの効率化は必ず進んでいく。日本は、道徳やプライバシーといった美学を残しながらも、この分野で負けてはいけない」と答えられた。教育については、大田氏は「若い優秀な人材には魅力ある職、仕事づくりが必要。ダイバーシティを受け入れながら、戻って来られる場を作る、そういう環境づくり、そういう教育をしていきたい」と答えられた。藤田氏は、「子どもたちをもっと自由にするという発想が必要。今の子どもたちは情報を収集し比較することができる。今やおとなの成功方程式は通用せず、おとなの不勉強ゆえにミスマッチな環境を作っていることが問題。人生=情報×経験でしかなく、おとなが教えられること(経験、哲学、家族とは、人とは、国とは…つまり歴史)は限られる。子どもたちをどんどん自由にさせ、可能性・自律性を信用し信頼する、そういう社会のモードチェンジが必要だ」と答えられた。

 最後に、コーディネーターを務められた野地学長が、「若い人に、幼い頃からもっと起業のことをきっちり教えることが重要ですね」とまとめられ、パネルディスカッションを終えた。

 パネルディスカッション終了後、次年度開催地の香川経済同友会の間島代表幹事からオンラインにて挨拶があり、「四国のサバイバルについて、をテーマに四国が地域間競争の中でどのように生き残っていくのか議論したい。観光面では、四国ブランドを構築し誘客して各地を回遊する仕組みづくりについても議論したい。また、懇親会では瀬戸内海を臨みフェリーでの開催を企画している。来年は瀬戸内国際芸術祭もあり、ぜひ香川にお越しください」と話された。

 最後に、当会の坂田代表幹事より閉会の挨拶があり、3名のご登壇者、そしてご参加の皆様に感謝申し上げるとともに、「来年はコロナが収束し、香川でみなさまと元気にお会いできますように」と締めくくった。

四国遍路世界遺産登録推進協議会総会(2021.7.26)

 7月26日(月)13時30分から、JRホテルクレメント徳島において、四国遍路世界遺産登録推進協議会令和3年度総会が開催され、本会からは島事務局長が参加した。

 開会にあたり、佐伯勇人協議会会長(四国経済連合会会長)と、副会長代表として徳島県の飯泉嘉門知事から挨拶があった。

 その後、4つの部会からそれぞれ活動状況について報告があった。普及啓発部会では、ポスターやパンフレットの増刷の他、各県の経済同友会と四経連がfacebookを管理し、推進協議会をPRすることとなった。また、2019年度に制作したPR動画を使用したWEBプロモーションは、新型コロナウイルスの影響でインバウンドが回復しないため、実施を見送った。来年度は、ロゴマークデザインを公募し、変更する予定である。デザインの公募を通じて、四国遍路世界遺産登録の活動をPRしていく。

 受入態勢の整備部会では、遍路道とトイレ位置案内図に今年度、香川県域と高知県域のWi-Fiスポットの位置情報を掲載したが、来年度は徳島県域と愛媛県域についても追加する予定である。また、講演会や勉強会も積極的に実施する計画を立てている。

 議事の後、文化審議会世界文化遺産部会の答申について報告がされた。2020年に、文部科学大臣から文化審議会に諮問がなされ、それを受けて文化審議会世界遺産部会における5回の会議で諮問事項が議論され、出された第一次答申となる。さらに今年度の議論を経て、最終的な答申が出される見込みである。

 本会も引き続き、四国遍路の世界遺産登録に向けて、機運を盛り上げていきたい。