11月9日(金)、阿南市にある若杉山遺跡の現地視察及び勉強会が開催され、7名が参加した。小西部会長が掲げる「温故知新」の方針に沿って、会員研修委員会が企画したもので、過去の遺跡の中に新たな発見をし、将来へのヒントを得ることを目的とした勉強会であった。
講師として阿南市市民部文化振興課の向井公紀氏を迎え、若杉山遺跡について説明を受けた。当該遺跡は水銀朱の原料である辰砂が採掘されていることが明らかになっている国内唯一の弥生時代の遺跡である。辰砂とは赤色顔料の中でも一番鮮やかで高貴なものとして古代から非常に重要視されていた鉱物である。主に石室や死者の顔に塗るなど、死者を葬る儀礼において使用する慣習があった。
その後、向井氏に若杉山遺跡まで案内していただいた。遍路の通り道であり、太龍寺山の標高約140~250メートル地点の斜面に位置している。周辺は高い樹木に囲まれ、厳かで静寂な雰囲気には圧倒された。現場では辰砂採掘・精製のための道具である石杵が欠損したものも見ることができた。
阿南市は、平成27年度より遺跡の調査に取り組んでおり、現在は国史跡指定を目指している。国史跡指定に認定されることにより、今後の遺跡調査や整備が一層充実し、将来の観光資源として域外にアピールできることも期待している。