3月20日(月)15時30分から、とくぎんトモニプラザにて産業振興・グリーン産業研究委員会意見交換会が開催された。三木委員長、岡本副委員長をはじめ本会からは7名が出席、徳島県商工労働観光部(2名)徳島県経営者協会(2名)徳島経済研究所(1名)の方々にも出席いただき、賃上げや人材の確保等について意見交換を行った。
<意見交換会要旨>
(1)賃上げについて
・世界的なインフレに伴い利上げが進み、現在はリセッションの様相を呈してきている。そのような中で、日本においても物価上昇を補うため賃上げのムードが高まっており、大手企業を中心に賃上げの発表が相次いでいるが、中小企業は厳しいのが実情である。
・中小企業は、原材料やエネルギーなどのコストアップを価格転嫁できていないのが実態である。「パートナーシップ構築宣言」といった取組みはあるが、現場レベルでは値上げは容易ではない。
・中小企業はコストカットなどにより何とか経営を維持してきたが、一方で大手企業は内部留保が膨らんできている。このような中で、賃上げの動きが活発となっている。中小企業にとって賃上げは容易ではないが、人材を確保し生き残るためには付加価値を高めて、高い賃金を実現していくしかない。
・入社して数年で転職(退社)していく若者が最近多くなっているように思われる。若年層に対する昇給は必要である。
・給与は、会社の利益が基準ではない。賃上げは必要だが、一律ではなく能力や成果等に応じて適切に配分することも必要。
・賃上げはやらざる得ない状況。このような状況を予見して、数年前から価格の見直しに着手し、原資の確保に努めてきたが、準備・計画は大切。今後ますます人の確保が難しくなる中で、企業もビジネスモデルを変えていく必要に迫られる。
・県の施策については、「徳島県賃上げ応援金」といった助成制度があったが、次年度は予算計上されていない。県は、補正予算での計上を検討すべきではないか。
(2)労働力、人材の確保について
・徳島県は、徳島県就職支援情報サイト「ジョブナビとくしま」を展開、UIJターン希望者と県内企業とのマッチングを行っており、一定の成果がでている。また、各種就職説明会やオンラインセミナー、インターンシップの実施、プロフェッショナル人材や外国人雇用にも注力している。関西圏の13の大学と協定を巻いており、県外からの人材の確保が重要だと考えている。
・新卒採用において、企業間の格差が広がっている傾向にある。また、社会課題に取り組んでいる企業が評価され選ばれる。
・徳島は、年間休日が少ない。東京では年間休日は120日以上、一方、徳島は平均105日しかなく、これではゆったり働けない。せめて、すべての企業が110日を超えて欲しい。休日日数を増やすことは、人材確保のためには重要である。ただ、働き方に関する考え方は人それぞれであり、一律の働き方は無理であり、フレキシブルな対応が求められる。
・女性活躍や活用は、企業の成長や発展に欠かせない。女性の社会参加、就業についてはまだまだ伸び代がある。
・出生率を上げることは重要であり、女性が働きやすい環境を整えることは不可欠。
・男性の育児参加が必須であり、男性の育休取得率を上げていく必要がある。一方で、女性活躍や女性管理職といった最近の風潮を心地よく思わない女性が一定層いることも現実である。
・徳島のサラリーマン世帯の子どもが県外に出ると、大半が帰って来ない。帰りたくなる徳島ならではのメリットが必要だ。
(通勤がラク、育休とれる、など何か特色のある、そして他県にはない利点)
・最近の採用状況を見ると、応募数が減っており、高卒がなかなか採れない。また、質も下がっているように感じられ、有能な人材の確保が難しくなっている。
・人材確保のためには、賃上げへの対応は必要であり、新卒を含め若年層に多く配分した賃上げを実施する。ただ、都市部へ流出する今の流れを止めるには、賃金や労働条件だけでなく、やはり「地域の魅力」が必要である。自慢できる徳島、そして徳島に対する愛着を醸成する、そういった意味では教育も大切である。
・行政は雇用に関するこれらの課題に取り組む企業を評価する(表彰)制度を設けて、企業はそれに応え企業イメージを向上させる、こういった仕組みが望まれる。
以上のように幅広く活発な意見交換が行われた。各団体は賃上げや人材確保に向け具体的なアクションプランを立てていくこととし、今後も継続的に意見交換の場を設け、要望や提言につなげていくとの認識を共有し、意見交換会を終えた。