2月8日(水)、高松市の香川紺屋町ビル4Fにおいて、四国四県の経済同友会の観光振興委員会による意見交換会が行われた。4県すべてに同委員会があり、四国が一体となった観光振興を推し進めるため、この度初めて企画され、23名が出席した。本会からは阿部委員長、澤田副委員長、有吉副委員長、森高事務局長の4名が出席した。
冒頭、香川経済同友会の田中委員長が挨拶され、「観光振興委員会は4県すべてにあり、共通のテーマである。本日、対面での機会を持つことに意義があり、最初のきっかけとしたい。今後どのように展開していくのかは、本日の意見を踏まえてみんなで決めていきたい」と述べた。
続いて、講演会に移り、株式会社日本政策投資銀行四国支店の柏原支店長が挨拶され、「広域的な視点で観光を見つめ直すきっかけとなり、四国四県の連携が深まることを期待している」と述べた。講師は同銀行副調査役の藤岡亜希子氏が務められ、「訪日外国人旅行者の四国に対する期待と可能性」と題して行われた。
㈱日本政策投資銀行四国支店が最近にまとめたインバウンド関連レポートを中心に四国のインバウンドの現状と課題について、統計やデータを用いて詳しく説明があった。
四国地域は全国に先駆けて少子高齢化、生産年齢人口の減少が急速に進んでいく。人口の減少は、消費する人が減り、域内における需要の減少を意味する。したがって、観光産業を振興し、少しでも多く″お金を落としてもらう″取り組みが必須である。
日本の訪日外客数は、コロナ前の2019年は3,188万人(2013年の3倍)となった。コロナにより大きく落ち込んだが、政府は2025年には2019年の水準に戻す計画だ。都道府県別に外国人訪問率を見ると、四国全体でわずか2.1%であり、熊本県(19位)1県相当分となっている。ブロック別に外国人宿泊者数を見ても四国は最も少なくなっている。
このように全国的には低迷しているが、コロナ前まで四国も右肩上がりで外国人旅行者は増えてきた。特に香川県が大きく伸びており、これは高松空港の東アジア直行便就航や瀬戸内国際芸術祭によるところが大きい。国籍地域別では、台湾、中国、韓国、香港で約8割を占め、欧米豪は約1割に留まっている。
四国島内では香川県が突出しており、外国語の口コミ数は圧倒的に多く、特に直島のアートスポットが人気となっている。直島を訪れる外国人旅行者を四国他県の周遊に結び付ける、面的な拡がりが必要であり具体的な施策が望まれる。
次に、外国人旅行者に対するアンケート調査では、四国に対する期待は、「自然」と「文化」となっている。2021年10月にロンリープラネットが発表した、2022年にお勧めの旅行先「Best in Travel 2022」の地域部門で、「四国」が世界で第6位に選出されるなど、世界が「四国」に注目している。
高い地域経済効果をもたらすには、日帰りではなく宿泊を伴い、なおかつ消費額単価の高い富裕層を誘客することが効果的である。富裕層に求められる要素は、①本物体験②独自性③ローカル④快適さ⑤柔軟性⑥プライバシーが挙げられる。
欧米豪富裕層旅行の実例を見ると、四国を訪れるものは少なく、訪れてもピンポイント(例えば直島だけ)となっているのが現状である。四国各県のハイライトを含む四国周遊モデルコース(お遍路体験&自然や文化を満喫~四国周遊8日間~)の創設が必要だ。
課題としては、富裕層向けの宿泊施設の不足、ガイド不足などを挙げた。そして、四国地域のインバウンド戦略に向けて、どの国地域、どの旅行層をメインターゲットとするのか、オール四国でプロモーションするメリットは何か、2025年の大阪・関西万博をどのように誘客に活かすのか、など様々な観点から問題提起され講演を終えた。
講演終了後、意見交換会に移った。本会からは、阿部委員長が「2025年の大阪・関西万博、2027年のワールドマスターズゲームズ関西、とビッグイベントが控えており、いかに四国に誘客していくか、タイムスケジュールを決めて取り組んでいく」と述べ、澤田副委員長は「認知度を上げる工夫や四国一体となったセールスは必要。大阪・関西万博については、四国周遊後→万博訪問という流れがいいのではないか」と意見を述べた。
その他の主な意見は、以下のとおり。
・2025年の大阪・関西万博に向け、行政も含めて関西戦略を立てている。
・四国ツーリズム創造機構も「四国ブランド」構築に向け活動を強化しており、同機構との連携を図る。
・外国から見れば、四国はひとつの島であり、四国全体が一体となって取り組むべきで、メリットはある。
・四国のインバウンドの現状は、直島が圧倒的に多く、直島以外の訪問先が必要である。2023年には観光コンテンツ開発、商品(観光コース)を創り、2024年にはそれをネット上に掲載する、そういった具体的な取り組みが必要。
・四国を周遊する二泊三日、三泊四日程度の観光コースの開発。
・四国全体を案内できるガイドがおらず、育成することが必要。
・外国人は日本人と違って、入浴(温泉)は主たるニーズではない。それを踏まえて考えることも必要。
以上のように活発な意見交換が行われ、共通認識として四国一体となった取り組みの必要性、大阪・関西万博を見据えた取り組みの重要性を確認した。
最後に、次回幹事を務める土佐経済同友会から、本年9月13日に四国四県の経済同友会の観光振興委員会と関西経済同友会との意見交換会が企画されていることが発表され、森委員長が「今日のような意見交換を継続し、結果を出していきたい」と閉会の挨拶を述べ、意見交換会を終えた。