10月28日(金)、徳島グランヴィリオホテルにおいて、「第2回阿波女活躍サミット2022」が本会主催、徳島県ならびに日本経済新聞社の共催にて開催された。本会をはじめとする各経済団体ならびに会員企業、自治体、ほか90名が参加した。
開会に当たり、サミットを主催する本会の阿波女活躍・ダイバーシティ推進委員会委員長の坂田千代子氏が挨拶され、「サミットをきっかけに阿波女活躍により経済活性化が進み、徳島の強みとなるように。そして、経済、経営が伸びるから女性活躍を推進していくという動きを加速させていきたい」と述べた。
サミットは基調講演とパネルディスカッションの2部構成で行われ、基調講演は、内永ゆか子氏(NPO法人ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク(J-Win)会長理事)を招き「経営戦略としてのダイバーシティ・マネジメント」と題して行われた。
ジェンダーギャップ指数を見ると、日本は146か国中116位、従前からすれば随分女性活躍は進んだが、世界はもっと進んでいる。世界は急速にフラット化しビジネスモデルの変革が求められている。モデルを変えていかないと生き残れない。そのためには、過去の成功体験に捉われない人が必要であり、多様性の第一歩は女性である。女性活用は真のダイバーシティへの最初の一歩であり、最も効率的である。米国のデータでは、経営会議に女性が入っている企業の方が利益率は高いという統計も出ている。新しい価値観を生み出すには新しい発想が必要であり、最も効率的なのが女性活用である。
キャリアアップの阻害要因はいくつかあるが、中でもいわゆる「オールド・ボーイズ・ネットワーク」の存在は大きく、解決は容易ではないが、女性も社内外にネットワークを築いていく必要がある。
内永氏は女性へのメッセージとして、6つ挙げ、①キャリアに対する目標を持つ②与えられたチャンスにチャレンジする③個人としての価値・強みを持つ④社内外のネットワークを大切にする⑤メンター(先輩)を活用する⑥馬に乗ったら降りない、と伝えた。そしてこれら女性自身の取り組みに加えて、経営トップの本気の取り組みが最も重要であるとした。最後に「Diversity is the Game Changer 」というキーワードを示され、講演を終えた。
その後、パネルディスカッションが行われ、「阿波女活躍と経済活性化」をテーマに下記の方々が登壇した。
飯泉嘉門氏(徳島県知事)
山本公彦氏(日本経済新聞社地域報道センター部次長)
加渡いづみ氏(四国大学短期大学部ビジネス・コミュニケーション科教授)
林香与子氏(徳島県経営者協会会長)
植田貴世子氏(阿波女あきんど塾)
<コーディネーター>
坂田千代子氏(徳島経済同友会理事 阿波女活躍・ダイバーシティ推進委員会委員長)
冒頭、パネリストがそれぞれの立場における現在までの取り組みを紹介した。その後、「女性管理職を増やすことによる経済・経営のメリット」そして、それを実現するための「今後の効果的な取り組み」について討論した。主な発言内容は以下のとおり。
(1)女性管理職比率が平均より高い企業は利益率も平均より高いという統計がある。女性は自己防衛機能が優れており、危機的な状況に強みを発揮する。そして、女性活躍はこれまでにない発想を生み、新たな企画が出てくる。また、働き方改革にも貢献する。
(2)消費者志向経営を進める上でも、女性の目線を取り入れ、男女双方のバランスの取れた思考が必要である。従って、消費行動で企業が選ばれるためには女性管理職が増えていくことが求められている。
(3)女性の「やりくり上手」は経営していくうえで大きな役割を果たす。経営者が女性活用を推し進めるのは当然のことである。
(4)男女の区別なく個人個人の能力を適切に評価することが必要である。
(5)「リカレント」を深化させ「リスキング」で知識とスキルをアップデートしていくこと。やはり「学び」、しっかり学び、知識と教養とスキルを身に着けていくことが大切である。
(6)家族の理解と協力は欠かせない。また、将来の管理職に向けて、若いうちからトレーニングしていくことも重要。1中小企業では対応に限界があり、大きな組織単位でやれればいいのではないか。
(7)ロジカルシンキングに留まるのではなく、クリティカルシンキングの思考を身に着けていくこと。そして、最も大切なのは、女性自身が、「社会に何をしてもらいたいのか」ではなく、「これから自分はどうしたいのか、どうなりたいのか」という意識をしっかり持つことである。そのためにも「学び」は重要であり、教育の機会をしっかり与えることも必要である。
以上のように活発な討論が展開され、最後に飯泉知事が「女性の感性を役立て男女ともに切磋琢磨しSDGsを引っ張っていこう」と締めくくった。
パネルディスカッション終了後、「サミット宣言」に移り、阿波女活躍・ダイバーシティ推進委員会副委員長の佐野美佐子氏が、「私たちは徳島県の持続可能な経済活性化を推進するために、女性が働きやすい環境づくりを目指します。そして、女性管理職比率の向上など、阿波女活躍を徳島県の強みとして成果が得られるよう努力してまいります」と力強く宣言し、本会の髙畑理事の閉会の挨拶を以ってサミットは終了した。
サミット終了後は、参加団体から代表35名が出席し、会場を15階に移しグループディスカッションを行った。7つのグループに分けて話し合いが行われ、ここでも活発な意見交換が行われ、非常に有意義な時間を共有することができた。