人口減少対応委員会と女性活躍推進委員会が合同で、10月4日(金)~5日(土)にかけて、「地域人教育」で全国から注目を集めている長野県の飯田市を訪問した。
地域づくりのモデル都市とも称されている飯田市では、住み続けたいと感じる「地域づくり」、帰ってこられる「産業づくり」、帰ってきたいと考える「人づくり」に取り組んでいる。
<視察から得られた知見>
地域づくり
・産業づくりや人づくりにおいては地域コミュニティの質の向上が重要であり、そのために地域自治組織の再構築を行う必要がある。自治組織の命令系統をトップダウンからボトムアップに変え、自分たちの地域のことは自分たちで決め、行政はサポートする立場に徹していた。
・飯田市には地域自治組織として「公民館」が存在し、地域の住民が一緒になって話し合いをして、物事を決める仕組みが確立。住民自らが地区基本構想を策定し、将来の目指すべき姿を描いて、政策や施策を考えていた。
産業づくり
・地域で自立できる産業をもっているかどうかを重要視しており、「経済自立度」という指標を独自に設定。既存の産業だけではなく、新しい産業を興すことにチャレンジしていた。
・産業振興においては、個々の企業の利益の追求だけではなく、広域のために地域の自立度を上げていこうという価値観の共有を図っていた。
人づくり
・進学や就職で一度地域を離れても、再び地域に戻ってくる人材サイクルの構築が必要であり、地元を離れる前にどれだけ地域のことを学んでもらえるかが重要である。
・地域人教育では実際に地域に出て行って、地域のことを学び、課題を見つけて、その解決策を考えることに力を入れている。解決策を実行するために、地域へプレゼンを行い、地域を説得して事業を立ち上げていく流れは、企業におけるプレゼンと同様のプロセスであり、地域人教育は企業人としての能力を養う場にもなっていた。
他地域へ普及させるためには
・まずは地域コミュニティの一員であることを認識し、自分たちの利益のみを追求するのではなく、地域全体のことを考えて行動するという価値観の共有と実践が必要である。