6月28日(月)、徳島合同証券㈱会議室において、澤上篤人氏(さわかみ投信株式会社 取締役会長)を講師に迎え、『金融バブル崩壊』と題して、講演会が開催された。本セミナーは青年部会会員研修委員会企画で、リアルとWEBの併用により実施され、三谷青年部会長をはじめリアルでは11名、WEBでは22名が参加した。
<セミナー要旨>
【金融バブルについて】
世界的に政府や中央銀行による資金の過剰供給が金融バブルを招いている。ゼロ金利やマイナス金利にし、お金をばらまくことで、金融経済は実体経済の20倍の規模という異常事態を引き起こしている。余剰資金は、債券や株式投資に向かうが、機関投資家の大部分は雇われのファンドマネージャーであり、短期間で運用成績を出し続けることが求められるため相場から途中下車できない。これらのことが現在のバブル相場を作っている。しかしながら、このバブル相場は、そう遠くないうちに必ず暴落すると考える。そうなると、企業のバランスシートでは、膨れ上がったバブル資産が吹き飛ぶが、負債勘定はそのまま残ることになる。いわゆる資産デフレである。日本の1980年代のバブル経済は1990年代に入り弾けたが、その時の資産デフレの規模は、1,200兆円~1,600兆円とされている。日本経済の2.2倍~3倍もの規模であり、これを穴埋めするために、560兆円もの予算が投入され、また低金利・ゼロ金利にすることで家計から金利収入を奪い580兆円を充当してきたわけだ。
現在の世界中の金融バブル崩壊による資産デフレは、過去のバブル崩壊時とは比較にならないほどの想像を絶する金額になる。中央銀行の資産はGDPの10%台が普通であるが、米FRBは36%、ヨーロッパ中央銀行で60%、日銀においては130%まで膨れ上がっている。各国政府は既に膨大な国債発行により財政は危機的状況にある。もはや中央銀行も政府も巨額の資産デフレを埋めることはできないのである。そして、バブル崩壊は信用収縮を引き起こし、金利は上昇、インフレを招き実体経済にも大きな影響を及ぼすであろう。
【資産を守り、育てるには】
金融バブルが崩壊しても我々の生活に根差した実体経済は決してなくならない。そこで、バブル崩壊による痛手を最小限に食い止めるにはどうすればよいのか。それは資産の置き場所を実体経済にある、生活に必要な、真面目で地道な企業の株式に長期投資することである。お金は抱え込むのが一番いけないし、預貯金も危ない。生活を支える企業を応援し、長期投資するというスタンスが重要である。また、最近よく言われるESG投資については、世界の機関投資家の投資の8割がインデックス運用であり、実態としてESGの見極めは困難であり、個別運用による対象企業のリサーチ力が必要になるとした。また、地方経済については、都市部よりコストが低いという優位性があり、長期投資で増やした資金を再投資あるいは寄付するなどして循環させれば、成長は大いに期待できる。