7月20日(金)13時30分から、ザ・リッツカールトン大阪において、第5回西日本経済同友会代表者会議が開催された。西日本18の同友会が集まり、本会からは岡田代表幹事、坂田代表幹事、島事務局長の3名が参加した。今回は「第4次産業革命下における、既存企業の経営戦略~産業構造が大幅に変化する時代に、中堅・中小企業が生き残るための方策~」をテーマに、社会・産業が大きく変わる時代に、中堅・中小企業が生き残るための経営者の意識改革や経営戦略の再構築について議論を行った。黒田章裕氏((一社)関西経済同友会代表幹事)の挨拶で開会し、休憩をはさみながら2つのセッションに分けて討議が行われた。
◇第1セッション
「経営者のマインドセットを変えるには」という議題で、荒木秀之氏(りそな総合研究所㈱主席研究員)により問題提起がなされ、さまざまな意見が出された。
主な意見は以下の通り。
・世界の潮流は戦略的であり革新的であるのに対し、日本は実務的で改善型。中堅・中小の一番の課題は「人手不足」や「雇用のミスマッチ」、実務的にやれることからやっていくことが重要である
・中堅・中小企業はリトルデータ、これからはデータがもっとも重要な時代になる
・お客様により多くの価値を提供していくことが求められている。意図してやったことではなく、また身近なちょっとした気づきが、結果的に価値を生むこともある
・お客様の役に立つということが重要であり、そのために技術があり、ビジネスを変えるもの。技術とは手段である
・人口減の問題において、第4次産業革命はチャンスであり、中堅・中小の経営者は浮き足立つのではなく、新しいことにチャレンジするマインドや今やらないと取り残されるという意識を持つべき
・新たな商品・サービスを生み出すにあたり阻害要因となる規制も多く、経済界が一体となって動いていくことが重要
◇第2セッション
引き続き荒木氏から、「これからの時代に、経営者に求められる経営戦略」について問題提起がなされ、各地同友会による事例発表も行われた。主な意見は以下の通り。
・副業・兼業で外部の人材を受け入れることで、新たな発想を得ることができ、イノベーションが起こり、日本の企業の力を強くしていく
・人材戦略については、どういう会社に向かっていくか、経営者が夢やビジョンを語れることが必要である
・社会課題を解決、かつ、収益をあげながらやり続けるという視点が重要
・人手不足対策の先を見据えた時に、改善型の取り組みに加えて、革新的な取り組みが求められる。それは社会課題解決型のビジネスであり、その課題こそが SDGsである
・第4次産業革命の技術は、今までできなかった課題解決へのアプローチの手段である
・永続的に続くビジネスモデルというものはなく、経営者としては常に変革を考えなければならない
第4次産業革命がもたらすインパクトを正しく認識し、健全な危機感を持ち、経営環境の変化をチャンスととらえるスタンスが重要である。また、これからは人材戦略が重要であり、新たな価値を生み出し、社会の課題を解決することに重きをおくような企業経営スタイルが必要になってくるとの、議長まとめがあった。
最後に、本年10月に香川県で開催される第116回西日本経済同友会会員合同懇談会や第32回全国経済同友会セミナーについての報告があり、池田博之氏((一社)関西経済同友会代表幹事)の挨拶で閉会となった。