2月17日(金)17時から、ザ・パシフィックハーバー オーセンティアステージにおいて、講師に徳島県警察本部長の松林高樹氏を迎え、『外国への技術流出のリスク』と題して講演いただいた。本会からは三好・三木両代表幹事をはじめ33名が出席した。
<講演要旨>
経済(通商、資源、先端技術)と国家安全保障は不可分の関係にある。特に、中国の台頭を背景に「安全保障が経済・技術分野に拡大しつつある」との認識は定着してきた。英国MI5(英保安庁)、米国FBI(米連邦捜査局)の両長官は2022年7月に共同会見を行い、中国の産業スパイの脅威についての警戒を呼び掛けるとともに、取引に係るリスクの正確な評価、知的財産の保護の重要性などを説いている。
警察の役割は、経済安全保障政策の実効性を確保する観点から、技術流出事案の実態解明と違法行為の取締りである。また、企業や大学等に対し、流出の実態や対策のノウハウについて情報提供するアウトリーチ活動を推進している。
サイバー攻撃やスパイ工作により情報が盗まれ国外に流出するリスクも顕在化しているほか、通常の経済・学術活動にも技術情報が狙われている場面がある。
具体的な事例として、SNSによるリクルートや偶然を装った声掛けによるアプローチなどがある。
徳島県については、産業構造を見ると製造業の割合が高く、独自の技術を有したニッチな企業も多い。それらの独自技術についても狙われる可能性がある。海外展開や海外取引を決して否定するものではないが、技術流出のリスクを十分に検討していただきたい。そして、不審に感じたり、疑問に思った点があれば経済産業省や私ども警察に相談していただきたい。
講演後の質疑応答では、海外取引における留意点や不審な取引と感じた際の対処法などが議論され、最後に三好代表幹事が御礼の挨拶を述べ、講演会を終えた。