2023年 年頭所感
一般社団法人 徳島経済同友会
代表幹事 三 好 敏 之
明けましておめでとうございます。
2023年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。また、会員の皆さまにおかれましては、徳島経済同友会の諸活動に対し、日頃から一方ならぬご支援・ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、昨年は、地政学リスクが顕在化し、世界情勢を大きく揺るがす歴史的な一年でした。ロシアによるウクライナ侵攻は、国家体制の違いによる国際社会の分断に加え、食糧・資源エネルギー価格の高騰を招き、世界中で急激なインフレを引き起こしました。ロシアの侵攻はウクライナの都市を破壊するだけに留まらず、戦後世界が営々と築き上げてきた自由貿易の秩序を破壊し、冷戦後、民主主義の拡大とグローバル化が世界全体の安定的な発展につながるという期待を脆くも崩れさせました。
おりしも世界が気候変動対策に取り組もうとしていた矢先の今回の侵攻は、そうした取り組みを遅滞させることにも繋がり、将来に大きな課題を積み残すことになりました。
経済面では、アフターコロナを見据えた需要回復の中で、世界的な金融緩和が転換期を迎えた年となりました。一方、緩和を継続する日本においては、金利差拡大から円安が進行、輸入コストは増大、企業物価は大きく上昇するなど企業経営に影を落とし、日本の貿易収支についても過去最大の赤字となる見通しです。また、物価の上昇は家計にもおよび、消費動向の減退も危惧されます。いずれにせよ、本年もウィズコロナのもとワクチン接種や感染対策を講じたうえで経済活動を推し進めていく必要があります。
一方で、明るいニュースもありました。北京で開催された冬季オリンピックでは、過去最多の18のメダルを獲得しました。米国のメジャーリーグでは前年に続き大谷選手が大活躍し、様々な記録を打ち立てました。11月に開催されたサッカーワールドカップカタール大会では、惜しくもベスト8は逃したものの、その戦いぶりは世界から称賛されました。これらスポーツでは、日本人選手の活躍は私たちに大きな勇気と感動を与えてくれました。
徳島県においては、「神山まるごと高専」が文部科学省から学校設置の正式認可を受け、今春の開校を待つばかりとなりました。スポーツ分野では、徳島県初のプロバスケットボールチーム「徳島ガンバロウズ」が設立され、B3リーグ参入を目指しています。これらの新たな動きが徳島を活性化し、地方創生の一翼を担うことが期待されています。
次に、本会の活動については、5月に創立70周年記念式典を開催し、経済同友会の櫻田代表幹事に「新しい資本主義の実現に向けて〜生活者共創社会〜」と題したご講演をいただきました。また、記念事業の一環として70周年記念誌を9月に発刊しました。ご協力いただいた皆さまに改めて感謝申し上げます。調査研究活動では、新たに「産業振興・グリーン産業研究委員会」を創設しました。防災、女性活躍を推進する各委員会では、会員企業向けに提言書を策定することができました。また、DX、GXの推進については、専門家を講師に招き、見識を深めることができました。10月には阿波女活躍・ダイバーシティ推進委員会が中心となり、徳島県ならびに日本経済新聞社との共催で「第2回阿波女活躍サミット2022」を開催し、徳島の女性活躍への機運はさらに高まりました。このように、社会環境の変化に対応し、徳島の魅力度を向上させる取り組みが求められています。徳島経済同友会は、設立趣意書にもあるように、持続的に成長し、特色ある徳島経済を創造するため、経済人として調査研究活動を通じて同友会の本分であります政策提言につなげ、徳島が抱える様々な課題の解決に寄与していきたいと考えます。
本年の干支は「癸・卯(みずのと・う)」です。寒気が緩み萌芽を促す年と言われています。またウサギにちなんで飛躍・向上の年とも言われています。私としては、昔から「ウサギは月に住む」と言われていることから、夢や希望をもたらす年になってくれることを期待しています。
結びとなりますが、ウクライナ問題、米中対立、中国・台湾問題など日本を取り巻く安全保障環境は大きく変化し、またサプライチェーンの脱中国化、世界的なインフレなど様々な課題が山積しています。歴史的な転換点に立っているいまこそ、新しい時代を創造・挑戦する経営者としての役割を発揮することが大事であると考えます。
会員の皆さま方の益々のご繁栄をお祈り申し上げますとともに、本会に対し引き続きのご支援をお願いいたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。