2021年12月8日(水)10時30分から、日本銀行高松支店主催による「金融経済懇談会」が開催された。日本銀行からは、雨宮正佳副総裁、高田英樹高松支店長、福西康浩徳島事務所長が出席、徳島県からは、飯泉嘉門徳島県知事をはじめ経済団体の各代表者計9名が出席した。本会からは三好代表幹事が出席した。
最初に、雨宮副総裁による講演があった。徳島県内のサテライトオフィス誘致やLED関連企業集積、女性活躍が進んでいる点などに触れ、「徳島県経済が、今後も時代を先取りした取組みを推進し、益々発展していくことを願っている」などと話された。
その後、意見交換会が非公開にて行われた。三好代表幹事の発言要旨は以下のとおり。
徳島県経済の現状評価は、生産・雇用・個人消費については、一部に持ち直しの動きが見られるが、新型コロナウイルスの影響は大きく、依然として厳しい状況である。特に個人消費の今後については、コロナの動向(第6波、3回目ワクチン接種など)次第である。また企業業績については、資源価格の高騰、物流コストの上昇など、収益への影響が懸念される。県内企業については、徳島県は製造業に強みがあり、産業構造上でもウエイトは高い。ニッチな分野で生産活動に従事する企業も多く、コロナ禍でも好調な業績を上げている企業も少なくない。土木・建設業については、今年度も底堅く推移する見通しであり、今後は大阪万博関連の間接的な特需効果が期待される。
徳島経済同友会は、地域経済の発展を大きな目標の一つとして活動し、そのために必要な政策提言を活動の柱としている。6つの委員会が調査研究活動を行っており、コロナ禍の中でも、今年は3つの提言書を策定し、自治体等に提言を行った。現在も各種アンケート調査を実施するなど、精力的に調査研究活動を進めており、新たな提言に繋げるべく準備をしている。特に、「DXの推進」や「防災・BCP」は、製造業の割合が高く、また自然災害(風水害・南海トラフ地震等)が想定される徳島にとっては、非常に重要な課題であり、要望事項を精査し、できるだけ早い時期に提言につなげたいと考えている。
政策要望等については、コロナによって日本だけでなく世界中が資金の過剰供給で金融経済は実体経済とかけ離れて膨れ上がった。本来、金融緩和がもたらしたマネーは、コロナ後の新しい付加価値やマーケットを創造するための投資に向かうべきであり、その前提としてのデジタル化の推進も含めて、これらを強力に後押しする施策をお願いする。
懇談後の記者会見で、雨宮副総裁は今後の経済の先行きについて言及するとともに、徳島県については、水素で走る燃料電池バスの運行や空港内の水素ステーションなどを取り挙げ、「こうした取組みを更に横展開し、全国的にもより発信力を高めていくことが大事であり、これらの取組みが大きな成果につながることを期待している」と話された。